同居していない場合に「日本人の配偶者等」は取得できるのか

日本人と結婚した外国人の方は、「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することができます。
この在留資格の特徴は、「家族滞在」とは異なり、日本人配偶者の扶養を受けることを要しない点にあります。就労制限のない身分系の在留資格であるため、原則として自分の好きな仕事にも就くことが可能です。
しかし、単に婚姻手続きを済ませただけで、この在留資格が取得できるわけではありません。
社会通念上、夫婦としての共同生活を営んでいると客観的に判断されることが前提となります。
では、申請者である外国人が日本人配偶者と同居していない場合、裁判所および出入国在留管理庁(以下「入管」)はどのような判断を下しているのでしょうか。
最高裁判例(平成14年10月17日判決)
「日本人の配偶者等」の在留資格該当性については、最高裁判所の判例があります。
最高裁は、法律上の婚姻関係が成立していても、互いに協力し、扶助し合い、社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態を伴っていない場合には、原則として「日本人の配偶者」とは認められないと判断しています。
判決では、「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として、真摯な意思をもって共同生活を営んでいるか」という点が重視されています。
この判例から、日本人配偶者やその家族の介護のみを目的とするような婚姻は、原則として認められないと解されます。
京都地裁判決(平成27年11月6日判決)
一方で、京都地裁平成27年11月6日判決は、現代社会における婚姻形態の多様化を踏まえ、週に1日しか同居していない夫婦であっても、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性を認めました。社会生活上婚姻関係といえるような実質的基礎があればよく、外国人と日本人との婚姻関係が実体を伴う限りにおいては、当該外国人の日常生活そのものが「日本人の配偶者等」にかかわる活動要件を充足する活動にあたり、活動要件を充足するために特別な活動(同居等)が求めれることはないと判示しています。
この判決では、婚姻関係といえるだけの実質的基礎があれば足り、同居の有無はあくまで判断要素の一つにすぎないとされています。必ずしも形式的・常時の同居が絶対条件ではないことを示した点で、実務上も参考になる裁判例です。
入管の審査要領と審査実務
入管の審査要領では、社会通念上の夫婦の共同生活を営んでいるといえるためには、特別な事情がない限り、同居して生活していることが求められるとされています。
もっとも、別居している場合であっても、申請者がその事実を正直に申告している場合には、
- 別居に至った経緯
- 別居期間
- 別居中の夫婦関係
- 相互の訪問状況
- 生活費の分担や経済的協力の有無
などの事情を総合的に考慮して判断が行われているのが実務の実情です。これらの事情について合理的な理由が認められる場合には、在留資格該当性が肯定される可能性があります。
まとめ
以上のとおり、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性を満たすためには、原則として同居し、相互に扶助し合いながら共同生活を営んでいることが外形的に確認できることが前提となります。
もっとも、別居している場合であっても、その別居に合理的な理由があるかどうかが審査の重要なポイントとなります。
入管への在留資格申請においては、結婚証明書などの公的書類に加え、スナップ写真、手紙、SNSのやり取り、通話記録などの資料を提出し、また理由書において別居に至っているやむを得ない事由を説明し、婚姻の実態を書面で具体的に立証していくことが重要です。
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