「留学」ビザの学生が本国の家族を呼ぶためには~行政書士の視点で解説

留学ビザを持って日本に滞在している学生が、本国の家族を中長期的(3か月以上)に呼ぶことは可能でしょうか?結論としては、ほとんどの場合は難しいですが、条件を満たせば可能性はあります。ここでは行政書士の視点から詳しく解説します。

家族滞在ビザの基本条件

留学生が家族を呼ぶ時に候補に上がるのは「家族滞在」ビザです。家族滞在ビザを取得するためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

1.在留資格該当性

在留資格該当性とは入管法別表に書かれた要件のことで、「家族滞在」の項には次のように書かれています。

「一の表、二の表又は三の表の上覧の在留資格(外交、公用、特定技能1号、技能実習、短期滞在を除く)をもって在留する者又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又はとして行う日常的な活動」

家族滞在で呼べる家族は配偶者又は子に限ることが分かります。また「留学」については次の上陸基準省令でさらに絞られています。

2.上陸許可基準適合性

「・・・留学の在留資格(この表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項第一号イ又はロに該当するものに限る)をもって在留する者の扶養を受けて在留すること」

留学の項の下欄に掲げる活動の項第一号イ又はロには

イ 本邦の大学、これに準ずる機関、高等専門学校、専修学校に入学して教育を受けること(もっぱら日本語教育を受ける場合、夜間通学、通信教育を受ける場合を除く)
ロ 本邦の大学に入学して大学の夜間において授業を行う大学院の研究科において専ら夜間通学して教育を受けること

上記を整理すると、「留学」の在留資格を持つ者の中でも、「家族滞在」を使って配偶者又は子を呼ぶことができるのは大学、高専、専門学校に在籍している者、夜間の大学院の研究科に通っている者に限られることになります。

扶養能力が審査のポイント

さらに、留学生が配偶者又は子を扶養する意志があり、かつ扶養できることが必須の条件になります。扶養能力とは養っていけるかどうかということです。「留学」ビザは就労可能資格ではないため、日本で働くことが原則できません。資格外活動許可を得ているときに限り、週28時間以内でアルバイトができるに留まります。そのため、奨学金や仕送りの金額、貯金の額にアルバイト収入を足したものが、生活保護水準にあるかどうかが扶養能力があるかどうかの基準になります。

例えば、広島市の標準世帯(夫婦子一人)の生活保護水準は、生活扶助と住宅扶助を合わせると月約21万円。年約250万円です。この基準に満たないと許可が下りない可能性が非常に高いです。

ではどうすれば、この基準に到達するかいくつかの例で考えてみます。

ケース仕送りバイト収入奨学金貯金年間合計扶養可能か
10万円05万円150万円330万円○(可能)
010万円5万円100万円280万円△(アルバイト主体で不安定)
015万円5万円50万円290万円△(アルバイト主体で不安定)

①仕送り月10万円、バイト収入0、貯金150万円、奨学金5万円のケース
②仕送り0、バイト収入10万円、貯金100万円、奨学金5万円のケース
③仕送り0、バイト収入15万円、貯金50万円、奨学金5万円のケース 

上記②と③のケースで注意が必要なのは、仕送りが0で生活費の大部分をバイト収入で支弁していることです。先ほど述べたように、留学生の就労は原則認められておらず、資格外活動許可を得ている場合にのみ可能となることでした。月の収入金額が不当に大きいと週28時間を超えて働いている可能性が高く、学校に行っていないのではないかという疑いが入ります。またアルバイトは不安定な雇用であるために、安定した扶養能力としては認められ難いという点です。

従って、留学生の場合は仕送りと貯蓄がしっかりあるかどうかが審査に大きく影響します。貯金は一般的に150万円以上あった方がよいと言われています。何かあったときに一年間無収入でもかろうじて日本で生活していける金額として考えられる最低の金額です。つまり、上のケースでは①のような場合にあって初めて可能性が見えてきます。

無理な申請は次の在留申請に影響することも

留学生がアルバイト収入だけを扶養能力の証拠として、「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請をするときには、次の注意が必要です。

・オーバーワークしていたことや学校に通わずに学業成績不振だったことが入管へ発覚する可能性

・「留学」の在留申請の時に経費支弁者を指定しているはずなのに、その方からの仕送りが証明できなかったら虚偽申請の疑いを持たれるリスク

・夫婦共に日本で就労することを当初から目論み、そのスキームとして本体者が留学ビザを取得したと捉えられる可能性

以上のようなことが発覚すると、次の本人の「留学」の在留期間更新許可申請、または卒業後の就労系ビザへの在留資格変更許可申請の際に、狭義の相当性がないとして不許可になる可能性があります。そのため、弊所では十分な仕送りと貯蓄、奨学金もないような方による「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請は慎重に考えたほうがよいと考えます。本業である学業が続けられなくなると、本体者のみならず家族も在留資格を取り消されるリスクがあるからです。

まとめ

留学ビザの学生が家族滞在ビザで家族を呼ぶのは、財政面や学業状況の条件が厳しく、ほとんどのケースでは難しいのが現状でした。そのため、十分な仕送りと貯蓄の無い方は、無理な申請をせず、短期滞在で家族を呼び寄せたり、卒業後条件を整えた後に申請することが、家族と安全に日本で暮らすための最善策です。

行政書士の視点からは、正しい在留実績を積み重ねることが、次の申請につながる大切なステップになると考えます。