特定技能ビザで派遣できる?|広島の外国人雇用で注意すべき点

在留資格「特定技能」とは

前回の記事で日本の出入国管理法には29種類の在留資格があると書きました。その中の一つに最近ニュースで話題になっている「特定技能」があります。特定技能の在留資格には「中小企業など深刻な人出不足に対応するため、人材を確保することが困難な産業(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく」という趣旨があります。

特定技能には1号と2号があり、1号が「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」であるのに対し、2号は「熟練した技能を要する業務に従事する活動」です。1号から2号への移行、または技能実習(「育成就労」に改正)から特定技能2号への移行が認められていることからわかるように、2号はより専門性が高い在留資格です。

「特定技能」で働ける産業分野と受入人数の拡大

今、日本、特に製造業の盛んな広島では人出不足で人材を確保することが困難な産業がいくつもあります。その不足を外国人で補うために令和6年3月に政府の基本方針が変更され、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業分野の4つが新たに特定産業分野に追加されました。また令和6年度から10年度末までに、特定産業分野への外国人の受け入れ数をこれまでの34万人から倍以上の82万人まで受け入れ数を増やす見込みです。

「特定技能」在留資格の許可要件の構造

外国人労働者が特定技能の在留資格を取得するためには、入管法上以下の在留資格該当性を満たさなければなりません。またここでは詳しく書きませんが、外国人の年齢や健康状態などの上陸許可基準適合性も満たす必要があります。

特定産業分野該当性

特定産業分野とは、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野をいいます。

具体的には介護、ビルクリーニング、工業製品製造、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の16分野をいいます(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業分野については令和6年3月に追加されることが決定しました)。

業務区分該当性

業務区分該当性とは、特定技能分野等省令で定められた「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」(1号)と「熟練した技能を要する業務に従事する活動」(2号)です。やや分かりにくいのですが、上記の特定産業分野の中で業務区分も満たす必要があるということです。例えば、建設分野では「土木、建築、ライフライン・設備」のみが業務区分として認められています。建設業であってもそれ以外の業務区分では認められないということです。

受入機関適合性

受入機関適合性は外国人を受け入れる企業等が外国人をちゃんと受け入れるための要件を満たしているかどうかが審査のポイントになります。労働、社会保険及び租税に関する法令の遵守、非自発的離職者・行方不明者の発生の有無、過去の入管法令違反などがあります。また、この受入機関適合性で派遣形態による受け入れも判断されております。基準省令によると、派遣元が一般の特定技能所属機関としての受入機関適合性を満たすことに加え、当該外国人が従事することになる特定産業分野に属する業務を行っていることが規定されています。派遣先についてもこの受入機関適合性を満たしていることが必要です。しかし、現在のところ農業漁業分野に限って限定的に派遣形態での受け入れが可能となっているに過ぎません。

契約適合性

契約適合性には①雇用関係に関する事項に係る基準と②外国人の適正な在留に資するために必要な事項に係る基準の2つがあります。①は雇用契約が労働関係法令に違反していないか、従事させる業務が単純業務ではなく、特定技能にふさわしいスキルを必要とされる業務か、派遣の場合は派遣先の本邦の機関の氏名又は名称、住所、派遣の期間が定められていることが必要とされています。②は帰国のための措置が取られているか、健康や生活状態把握のための措置が取られているかなどが規定されています。

支援計画適合性(1号のみ)

支援計画適合性は特定技能1号にのみ必要とされる基準です。事前ガイダンスの提供、出入国する際の送迎、住居支援、オリエンテーションの実施、日本語学習の機会提供など、特定技能で就労する外国人が日本で安心して働き生活できるよう適切なサポートをすることが義務付けられています。特定技能外国人を受け入れる企業が登録支援機関に支援計画の実施を全部委託している場合には、この適合性は満たすものとされています。

まとめ

人出不足の産業では派遣労働者の需要は高いものがあります。しかし、「特定技能」の在留資格の外国人労働者を派遣形態で働かせることができるのは、今時点では「農業」と「漁業」分野に限られ、しかも派遣元も同じ産業を行っていなければならないなど、きわめて限られた形でしか特定技能外国人の派遣は認められていません。これは日本人の雇用を守ることと日本で働く外国人を保護することのバランスからの要請だと考えられます。したがって、日本人労働者を派遣するような形での特定技能外国人の派遣は今時点では認められておりません。特定技能では直接雇用が原則です。今後の推移に注目する必要があります。

特定技能は幾つもの法律が複雑に絡み合っており、なかなか専門家でも理解が難解です。また、採用企業には義務付けられている届出がいくつもあります。

行政書士もりた国際法務事務所では特定技能の外国人を受け入れることができるかどうかの相談を行っております。弊所のサービス概要についてはこちらをご覧ください。また広島市及びその近郊では無料出張相談も可能です。お気軽にお問合せください。

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